描き分け

原子の三次元座標が与えられると,原子間の距離や角度に基づいて,分子,アミノ酸,タンパク質といった構造が検知できます.
一方,分子を画面に表示するために,原子を球,結合をシリンダまたは線,ペプチド主鎖を三角形といったオブジェクトで表現します.
これらを組み合わせれば(構造に応じてオブジェクトの色やサイズを変更すれば),その分子(あるいは複数の分子)を構造に基づいて描き分けできます.

アミノ酸 / 非アミノ酸に基づく描き分け

ペプチドも検知しているので,より正確に言えば,「アミノ酸,ペプチド / 非アミノ酸,非ペプチド」です.

まず描き分けしたいタンパク質を,メニューバーで [ウィジェット(W)]-[レイヤ 0] で表示される画面または [ウィジェット(W)]-[レイヤ 1] で表示される画面で開いて下さい.
両方のタンパク質を並べて表示する機能 [ウィジェット(W)]-[レイヤ 01] では描き分けできないようにしています.
次いで,[表示(V)]-[描き分け]-[アミノ酸/非アミノ酸] とすれば,条件を設定するためのウィンドウが表れます.

条件設定

設定ウィンドウ

4 個の選択肢があります.

モデルと着色の選択

アミノ酸に対しては,「空間充填」,「棒球」,「棒球リボン」,「リボン」,「棒」,および「針金」の各モデルと「モノクロ」,「分子」,「ペプチド」,「アミノ酸」,「二次構造」および「CPK」の各着色の組み合わせから 1 個.
非アミノ酸に対しては,「空間充填」,「棒球」,「棒」,および「針金」の各モデルと「モノクロ」,「分子」,および「CPK」の各着色の組み合わせから 1 個.

着色の「分子」,あるいは「ペプチド」というのは,分子ごと,ペプチドごとに色を変えるオプションです.
「アミノ酸」というのは,アミノ酸の性質に基づく着色です(Asp および Glu を赤,Arg,His,および Lys を青,Cys を黃,Ser,Thr,Asn,Gln,Tyr,および Gly を緑).
「二次構造」は,α-ヘリックスを赤色,β-シートを黄色に着色します.

「棒球リボン」というのは,棒球とリボンを同時に表示するオプションです.
この場合,リボンの着色は「二次構造」に限定しています.

塗り潰し,線描,点描

この選択肢は,描画ライブラリ側の設定を使ったものです.アミノ酸,非アミノ酸に対して設定できます.
立体の表面を乗り潰すか,線で表すか,点で表すかを設定できます.
(要するに,OpenGL での二次曲面 の描画オプション GLU_FILL,GLU_LINE,および GLU_POINT の選択)

なお,ペプチド結合を表す三角形や共有結合を表す線では,このオプションは機能しません.

実行例

ヘモグロビンを素材として,いくつか試してみました.
予め Builcule を使って 1mbn.pdb から単離したものです.

実行例 1

ヘモグロビンをペプチドとヘムとで色分け

ヘムの位置を探すために色分けしたものです.
赤がヘモグロビン,白がヘムです.

アミノ酸:空間充填 + 分子,塗り潰し
非アミノ酸:空間充填 + モノクロ,塗り潰し

実行例 2

ヘモグロビンにヘムが埋まっているようす

ヘムが埋まっている様子を表現するために,アミノ酸の表示を点描にしてみました.

アミノ酸:空間充填 + アミノ酸,点描
非アミノ酸:空間充填 + CPK,塗り潰し

実行例 3

ヘモグロビンは大部分が α-ヘリックスから成る

アミノ酸の表示をリボンにして,大部分が α-ヘリックスであることを確認しました.

アミノ酸:リボン + 二次構造
非アミノ酸:空間充填 + CPK,塗り潰し

実行例 4

ヘム鉄とヒスチジンの結合部付近

ヘム鉄とヒスチジンが配位結合している部分(想像)にズームインしてみました.

アミノ酸:棒球リボン + アミノ酸,塗り潰し
非アミノ酸:空間充填 + CPK,塗り潰し

ズームイン/アウトは,z キーを押しながら,マウスのスクロールボタンを回転させます.
視点を上下左右に移動させるには,x キーとマウスボタン(右または左)を押しながら,ドラッグさせます.

選択分子/非選択分子に基づく描き分け

選択分子/非選択分子に基づく描き分け例

てきとうに作成した分子モデルで動作確認しました.
手順を記しておきます.

  1. ファイルを開きます
  2. [ウィジェット]-[セレクタを表示] を実行すると,画像の中で右側に表示されている,分子とアミノ酸を選択するためのウィンドウが開きます
  3. 目的の分子/アミノ酸をクリックすれば,選択されて表示が反転します.画像は,分子番号 1 を選択したところです
  4. [表示]-[描き分け]-[選択分子/非選択分子] を実行すると,画像の中で左下に表示されている,設定ウィンドウが開きます
  5. 画像は,非選択分子を「モノクロ + 棒」,選択分子を「空間充填 + CPK(色)」と設定したところです
  6. [再描画] ボタンをクリックすると設定した表示に変更されます
  7. 視点を適宜変更します.Z キーを押しながらマウスホイールを回転するとズーム,X キーを押しながらドラッグすると平行移動です

選択アミノ酸/その他に基づく描き分け

選択アミノ酸/その他に基づく描き分け例

タンパク質 2 分子から成る複合体を使って動作確認しました.
手順を記しておきます.

  1. ファイルを開きます
  2. [ウィジェット]-[セレクタを表示] を実行すると,画像の中で右側に表示されている,分子とアミノ酸を選択するためのウィンドウが開きます
  3. 目的の分子/アミノ酸をクリックすれば,選択されて表示が反転します.画像は,分子番号 1 の全アミノ酸を選択したところです
  4. [表示]-[描き分け]-[選択アミノ酸/その他] を実行すると,画像の中で左下に表示されている,設定ウィンドウが開きます
  5. 画像は,選択アミノ酸以外を「リボン + アミノ酸(の性質で色分け)」,選択アミノ酸を「空間充填 + CPK(色)」と設定したところです
  6. [再描画] ボタンをクリックすると設定した表示に変更されます