BInter
分子ごとに構造を調整しつつ,分子間相互作用モデルを作成します.
これは,libbuilcule の分子構造の調整をアプリケーションレベルで実装した機能です.
分子どうしを手作業で噛み合わせるより多少まし,といった処理だと思います.
相互作用の計算には 2 種類あります.
「相互作用過程のステップ」では,分子間で静電的相互作用とファンデルワールス反発を発生させることにより,分子間相互作用モデルを作成します.
「凝集過程のステップ」ではこれに加え,系の中心に向かって分子を引き寄せる力を発生させて計算します.
両方のステップを設定した場合は,まず「凝集過程のステップ」をおこない,ついで「相互作用過程のステップ」を実行します.
系の中心に向かって分子を引き寄せる力で強制的に分子を会合させるわけですが,その力は例えばナトリウムイオンどうしなら,お互いに反発する程度の力です.
検討課題を記しておきます(Builcule の分子間相互作用 と同じ内容です).
- どの程度の高分子まで適用できるのか
- 計算化学ソフトウェアの入力構造作成ツールとしてとして使えないか
- 何かのスクリーニングに使えないか
ビルドとインストール
ソースファイル
- libbuilcule-2:ライブラリのページへのリンクです.先にライブラリをインストールしてください
- binter-1.0.0.tar.gz
ビルドとインストール
ダウンロードした binter-1.0.0.tar.gz を解凍し,生成するディレクトリに移動します.
~$ tar -zxvf binter-1.0.0.tar.gz
~$ cd binter-1.0.0
Makefile 作成ツールには,Automake を使っています.Automake の常法どおり,
~/binter-1.0.0$ ./configure
~/binter-1.0.0$ make
~/binter-1.0.0$ sudo make install
とすれば,/usr/local/bin に bmutate がインストールされます.
アンインストール
実行ファイルがインストールされるだけなので,これを削除してください.
~/$ sudo rm /usr/local/bin/binter
不具合
不具合ではなくアイデアなのですが,検討課題を記しておきます.
- どの程度の高分子まで適用できるのか
- 計算化学ソフトウェアの入力構造として使えないか
- 何かのスクリーニングに使えないか
改定履歴
2023 年 11 月 6 日 : 1.0.0 リリース.
マニュアル
ファイル形式
- 入出力ファイルは,XYZ 形式,PDB 形式,および 独自形式である BCL 形式に対応しています
- ファイル形式は,拡張子で判断します
オプション
ショートオプション(1 ハイフン + 1 文字)のみ使えます.
binter i:o:a:n:hv
- i 入力ファイルを指定してください.相対パスでも絶対パスでも OK です
- o 出力ファイルを指定してください.相対パスでも絶対パスでも OK です
- a 凝集過程のステップを指定してください(0〜1000000)
- n 相互作用過程のステップを指定してください(0〜1000000)
- h ヘルプを表示します
- v バージョンを表示します
使用例
ここでは Builcule を入力ファイルの作成と結果の表示に使っています.
実は,Builcule にもほぼ同じ機能 [実験(X)]-[分子間相互作用] があります.
両者の使い分けは,予備的に何回か試して見るなら Builcule,大量に入力ファイルを用意して計算するなら BInter というところです.
入力構造
Builcule で Lys-Lys-Lys-Lys-Lys と Glu-Glu-Glu-Glu-Glu を作成しました.
tmp0.bcl という名前で,wk というディレクトリに保存しておきます.
ここでは BCL 形式を使っていますが,XYZ 形式でも PDB 形式でもかまいません.
凝集過程のみ
~$ binter -iwk/tmp0.bcl -owk/tmp1.bcl -a200000
wk ディレクトリの tmp0.bcl を入力ファイルとし,凝集過程のステップを 200000 ステップおこない,wk ディレクトリの tmp1.bcl というファイルに出力します.
画像は,tmp1.bcl を Builcule で開いたところです.
相互作用過程のみ
~$ binter -iwk/tmp1.bcl -owk/tmp2.bcl -n100000
wk ディレクトリの tmp1.bcl を入力ファイルとし,相互作用過程のステップを 100000 ステップおこない,wk ディレクトリの tmp2.bcl というファイルに出力します.
画像は,tmp2.bcl を Builcule で開いたところです.
カルボキシル基とアミノ基とがイオン結合しているようです.
凝集過程 + 相互作用改定
~$ binter -iwk/tmp0.bcl -owk/tmp3.bcl -a200000 -n100000
wk ディレクトリの tmp0.bcl を入力ファイルとし,凝集過程のステップを 200000 ステップおこなった後で,相互作用過程のステップを 100000 ステップおこない,wk ディレクトリの tmp3.bcl というファイルに出力します.
画像は,tmp3.bcl を Builcule で開いたところです.
カルボキシル基とアミノ基とがイオン結合しているようです.
上の tmp2.bcl と同じような構造になるかと思ったのですが,そうはなりませんでした.