基礎研究

自作ソフトウェアを使ったタンパク質の分析や in silico 実験,自作ソフトウェアのためのアルゴリズムの開発研究,密度汎関数法による酵素基質の分析などが置いてあります.
サイトの作業仮説としているリン酸仮説との連携を意図して実験テーマを選ぶことが多いです.


目次(ページ内リンク)


タンパク質の分析
密度汎関数法
アルゴリズム
in silico 実験

タンパク質の分析

画像は,ピルビン酸キナーゼの活性中心を PDB ファイルから単離したところである.

ホスホリボシルピロリン酸合成酵素

ホスホリボシルピロリン酸(PRPP)合成酵素の PDB ファイルから酵素基質複合体を単離し,そのようすを観察した.
PDB ファイルによっては,アルドペントース型リボース 5-リン酸が含まれている場合や α-ヘミアセタール型リボース 5-リン酸が含まれている場合がある.
反応モデルを構築するには,どこまでが実験結果であるのかなど,さらなる検討が必要である.

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ピルビン酸キナーゼ

ピルビン酸キナーゼの PDB ファイルから酵素基質複合体を単離し,反応モデルの構築を試みた.
活性中心からはオギザロ酢酸と ATP γ-リン酸基が対向した構造が得られた.
モデルには,マグネシウムも含まれている.マグネシウムは基質の位置を固定するのに利用されているようだ.
オギザロ酢酸をピルビン酸に変換し,そのカルボキシル基と ATP との間でリン酸を授受するモデルを構築した.

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ホスホグリセレートキナーゼ

ホスホグリセレートキナーゼの PDB ファイルから酵素基質複合体を単離し,反応モデルの構築を試みた.
1,3-ビスホスホグリセリン酸のカルボキシル基と ADP のピロリン酸基が対向したモデルが構築できた.
カルボキシル基とピロリン酸基との間でリン酸を授受するのに都合がよさそうである.

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グリセルアルデヒド 3-リン酸デヒドロゲナーゼ

グリセルアルデヒド 3-リン酸ロゲナーゼの PDB ファイルを試料とし,フリーソフトを使った編集.解析の可能性を検討した.
目的のタンパク質を単離し,活性中心を抽出し,その反応モデルを構築することが目標である.
グリセルアルデヒド 3-リン酸のアルデヒド基と NADH+ のピリジン環窒素のパラ位炭素が近傍に位置しており,反応機構と矛盾しないモデルが構築できた.

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ペプチドの二面角.測定と解析

タンパク質の高次構造を表現する一つの手段として,主鎖付近の二面角,Ψ,Φ に加え最初の側鎖二面角 χ1 を測定し,それらがどのように分布しているのか調べてみた.
Ψ と Φ を散布図にプロットしたものが Ramachandran プロットであるが,このページではそれを拡張し,側鎖の方向も含めて検討するということである.
なお,このページでの角度はラジアンで標記している.

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タンパク質における共有結合の検知

手元にあったミオグロビンの PDB ファイルを試料とし,この仕様を確認する実験をおこなった.
まず.ファンデルワールス距離未満の炭素-炭素,炭素-窒素,炭素-酸素距離を測定してヒストグラムを作成して分析した.
次いで,共有結合距離と推定した数値のみでヒストグラムを作成して分析した.
これらの観察により,タンパク質での共有結合の性質を反映した結果が得られた.
共有結合の検知範囲は,共有結合距離の和 * 1.2 程度としておけばよさそうである.

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アミノ酸の性質

タンパク質の研究やソフトウェアの開発に利用する目的で,アミノ酸の性質をまとめる.
ウェブで公開されているデータと独自に計算した数値を記す予定である.

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密度汎関数法

アルドペントース型リボースの HOMO

画像は,アルドペントース型リボースの HOMO である.

リボースの分子軌道

リボースを基質とする酵素反応により,アルデヒド基,1 級および 2 級ヒドロキシ基が修飾される.
また,アルドペントース型と環状ヘミアセタール型の構造をとる.
種々の酵素反応とリボースの構造を関連させて理解することを目指して,リボースの分子軌道を計算した.

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リン酸による活性化

リン酸-酢酸無水物(アミノアシル t-RNA によるアミノ酸の活性化段階や 1,3-ビスホスホグリセリン酸のモデル化合物)とホスホエノールピルビン酸について分子軌道を計算し,ピロリン酸(ATP etc のモデル化合物)の分子軌道と比較した.

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ピロリン酸の分子軌道

化学進化や酵素反応のモデリングの参考とするために,高エネルギーリン酸化合物のモデル化合物としてピロリン酸を採りあげ,分子軌道を計算して反応性を考えてみる.

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アルゴリズム

構造アラインメントのスコア

画像は,構造アラインメントのスコアをプロットしたところである.
どちらかというとプログラミング寄りと思った話は,プログラミングディレクトリに置いてある(例えば,libbuilcule).

構造アラインメントの開発

構造アラインメントの機能を開発したので記しておく.
アミノ酸スコアに基づく配列アラインメントアルゴリズムを拡張し,二乗平均偏差に基づく局所的な立体構造の類似性を加味したものである.
当サイトで開発中の分子モデリングソフト Builcule に実装している.

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in silico 実験

ペプチドとマグネシウムイオンの相互作用モデル

画像は,ペプチドとマグネシウムイオンの相互作用モデルである.

このページのコンテンツは,分子モデリングとソフトウェア開発を並行しておこなう研究開発のひとつである.
したがって,折りに触れてアップデートしていくことを企図している.

ペプチドの in silico コンフォメーション実験

ペプチドの作成と情報の取得は自作ソフトウェアを,コンフォメーション探索は OpenBabel ライブラリを利用する自作ソフトウェアを使った.
シミュレーション実験で,コンフォメーションに電荷が大きく影響しているであろうことが確認できた.

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マグネシウムイオンとペプチドとの相互作用モデル

自作ソフトウェアを使い,Mg2+ とペプチドとの複合体がどこまでモデリングできるか in silico 実験している.
Mg2+ が 2 個のカルボキシル基とイオン結合するモデルが構築できた.

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